カット・クリスタルで知られる「スワロフスキー」が誕生したのは、今から約120年あまり前の1895年。雄大なアルプス山脈に囲まれたオーストリアのチロル州ヴァッテンスで産声を上げて以来、今も本社はこの地に。そして、この本社に程近い場所に、世界に類を見ないクリスタルのテーマパークを所有していることを知る人は、相当な「スワロフスキー」通、クリスタルマニアかもしれない。

ブランド誕生100周年を記念して1995年にオープンした“クリスタル・ワールド”は、オーストリアのマルチメディアアーティストであるアンドレ・ヘラーによる設計で、広大な敷地にはクリスタルによるイマジネーションに満ちた小宇宙が広がる。
まずエントランスを見てみると、口から滝が流れ落ちる巨人がお出迎え。 丘を彫って作られたこの地に伝わる伝説の巨人が、大きく手を広げてゲストを待ち構えているかのようだ。
 
圧倒的なインパクトで幕開けする館内ツアー、驚くにはまだまだ早い。巨人の“体内”に一歩足を踏み入れれば、めくるめく輝きと幻想的なムードに包まれたファンタジックな旅の始まりだ。著名アーティストがクリスタルをテーマに制作した芸術作品の数々が並び、ゲストは見て、聴いて、感じながら全身でクリスタルを味わうことができる。 

14のゾーンにわかれた空間で、とびきり度肝を抜かれるのがこちら。ミクロ化した自分がクリスタルの結晶の中に迷い込んだかのような感覚を覚える、クリスタルドーム。多面的なカットが特徴的な「スワロフスキー」の美しいクリスタルのように、595枚の鏡に反射する色と光と音が織りなす不思議な世界へ。

次に注目したいのは、今は亡きアレキサンダー・マックイーンとインテリアデザイナーのトード・ボーンチェによる“サイレント・ライト”。凍りついた樹木を思わせるこの作品は、クリスタルの限りなく透明な輝きと有機的な形が融合して、月明かりに照らされた神秘的な冬の夜へと誘ってくれる。

その後、クリスタルシアターやスリリングなインスタレーション、モダンアートで埋め尽くされたギャラリーを歩き、最後はクリスタルの森へ。自然と人間が生み出した技術が共生する世界を表現した空間には、謎めいた森の住人である“レヴィアタン”と名付けられたクリスタルのクラゲが、美しい夢の世界のフィナーレを飾る。

これらの不思議な部屋の外には、ジュエリーコレクションから、世界的にコレクターの多いクリスタル・フィギュリン、インテリア・オブジェといったアイテムが揃うショッピングエリアを併設。ここでしか手に入らないお土産も見逃せない。　
 
また、巨人エリアの周辺には美しい庭園が広がりピクニックも楽しめるうえに、謎解きを待つ迷路や展望台、ビオトープといったお楽しみも充実。子供から大人まで満喫できる、創造性に満ちた空間が広がっている。さらに、“テラ（大地）”とネーミングされたカフェではクリスタルで作られた“ウォーターフォール（滝）”も必見。旬の素材を使った料理とともに、心ゆくまでワンダーランドの魅力に酔いしれて。　
　
courtesy of SWAROVSKI 　
　
＊次回のテーマは、「名画を華麗に彩るクリスタルの輝き」。10/11（金）更新予定です。