ファッションでもインテリアでも、どこかに必ず“隙”を作る
──多くのものを見て、手に入れて、使ってきた設楽さんは、今どんなふうにモノを選んでいるのでしょうか?
僕のもの選びには2パターンあるんです。ひとつは歴史のある名品。’30~70’sの「ヴォーグ」のコレクションなんかも大事にとってあります。もうひとつは、その対極的なもの。一瞬のためだけにあるような、くすっと笑ってしまうキッチュなものですね。たとえば最近のお気に入りは、笛を吹くと犬の声がするおもちゃ。こういうの大好きでつい買っちゃいますね(笑)。
値段はあまり関係ないですね。わが家には北欧で見つけてきた、優れたデザインの北欧のガラスが飾られていますが、そのなかにひとつ、蚤の市で300円くらいで買ったフラワーベースも混ざっているんです。壁に飾っている写真もそう。モノクロのオリジナルプリントのなかに、自分で本を切り抜いて額装したものを混ぜている。でもどれが安物かなんて、うちに来た人は誰もわかりませんね。僕のなかでは好きなものはみんな同等だし、通のやつに「これ、いいねえ」なんて言われると、もうニヤニヤしちゃう(笑)。すべて高級で上等なもので固めるのをおしゃれだとは思っていないんですね。ファッションでもインテリアでも人付き合いでも、どこかにあえて隙を作ることが大切だと思います。付け入る隙を作る、それがコミュニケーションにつながると思うので。
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設楽 洋/「ビームス」代表取締役
ご自宅のデータ/東京都目黒区在住。家は新築の一軒家。東京の土地ながら、「ベランダの向こうに波の音が聞こえる感じ」と設計家にリクエスト。各部屋の家具やインテリアがそれぞれ違いながら、全体を通してゆるい空気が流れているところがご自慢ポイント。訪れる友人知人にも、リゾート感があってリラックスできる、と好評だとか。
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『BEAMS AT HOME ~日本を代表するおしゃれクリエイター集団 ビームススタッフの「暮らし」と「服」~』¥1,500/宝島社
「ビームス」で働くスタッフの「暮らし」と「服」を紹介した、同ブランド初となるライフスタイルブックが登場。バイヤーやプレスをはじめ、NYやパリ、ロンドン、台湾といった海外在住のスタッフまで、総勢130人の自宅のインテリアやワードローブを全474ページに渡って収録。さまざまなテイストをMIXした個性豊かなインテリアなど、「ビームス」らしいおしゃれのアイディアがたっぷり詰まった一冊は、自分らしく居心地のいいお部屋づくりの参考になるはず。