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モノを使ったときのハッピー感を伝える

──リアルなライフスタイルの発信という面にも、「ビームス」らしさがありますね。
 
 「ビームス」のたくさんあるレーベルの多くは、自然発生的に生まれたものです。たとえば、スタッフが妊娠して着たい服がないからマタニティレーベルをつくるとか。女性だけどメンズライクなファッションが好きで、でもサイズが合わないというお客様がたくさんいたから、「ビームス ボーイ」が誕生したとか。世の中をマーケティングして、何が売れるかを考えるという事業計画的なことよりも、スタッフの成長やリアルな生活のニーズのなかから生まれてきたところが大きい。だから39年間、生き残れたんじゃないかな。スタッフの力は大きいですよ。店をつくるときも、たとえ僕のなかでイメージが完成していたとしても、僕はその通りにつくりなさいとは言わない。コンセプトと空気感だけを伝えます。それを受け取ったスタッフの咀嚼の仕方によっては、僕が考えたものを超えて、120%の仕上がりになる。人と人との関わりには化学反応みたいなものがありますからね。
 
 今は、販売の仕方もそういうリアルなところが大切ですね。以前は作り手の思いを使い手に伝えることを最重視していた。デザイナーのこだわりだとか、ブランドの歴史だとか、いわゆる商品に関するうんちくですね。今はそれだけでなくて、実際に使ったときのハッピーさを伝えることを重視しています。その商品を使ったらどういう生活ができるか。どんなに楽しくなるか。ショップスタッフの着こなしを見たり、会話をしたり、使用感を聞いたり。それがオンラインショップよりも店頭で買うことの楽しさにつながっていると思います。
 
 さらに言えば、ちょっと頑張れば手の届く夢、みたいなものを提案しているところもあります。どんなに素敵でも高額すぎるものはリアルじゃない。4畳半の部屋に住んでベンツを売るより、自分が売っているものを着て使って暮らしているほうがバランスがいい。「これ着こなしにくいかな?」「少し高いかな?」「うちのインテリアに合うかしら?」と思うけどいいなと思うもの、使うことに憧れるもの。それを少し背伸びして手に入れてみたら、すごく生活がハッピーになって、自分にとってかけがえのないものになるってことがあると思いますね。

「【ビームス 設楽 洋社長編】おしゃれメンズのご自宅拝見!」トップへ
  • 設楽 洋/「ビームス」代表取締役

    ご自宅のデータ/東京都目黒区在住。家は新築の一軒家。東京の土地ながら、「ベランダの向こうに波の音が聞こえる感じ」と設計家にリクエスト。各部屋の家具やインテリアがそれぞれ違いながら、全体を通してゆるい空気が流れているところがご自慢ポイント。訪れる友人知人にも、リゾート感があってリラックスできる、と好評だとか。

    >>「ビームス」オフィシャルサイトはこちら

  • 『BEAMS AT HOME ~日本を代表するおしゃれクリエイター集団 ビームススタッフの「暮らし」と「服」~』¥1,500/宝島社
     
    「ビームス」で働くスタッフの「暮らし」と「服」を紹介した、同ブランド初となるライフスタイルブックが登場。バイヤーやプレスをはじめ、NYやパリ、ロンドン、台湾といった海外在住のスタッフまで、総勢130人の自宅のインテリアやワードローブを全474ページに渡って収録。さまざまなテイストをMIXした個性豊かなインテリアなど、「ビームス」らしいおしゃれのアイディアがたっぷり詰まった一冊は、自分らしく居心地のいいお部屋づくりの参考になるはず。

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