デンマーク・デザイン界が注目する新しい才能、クリスティーナを訪ねて
北欧各国版の『エル・デコ』で今、いちばん注目されているデザイナー、クリスティーナ・リルヨンバーグ・ハルストロム。彼女のアトリエを訪問した。
息子との対話で生まれた、「ゲオ」で一気にブレイク
クリスティーナはコペンハーゲンやストックホルムで服飾や家具デザインを学び、留学先のベルリンでは、阿部雅世氏による、感触の美しさにフォーカスするデザイン教育(ハプティック・インターフェイス・デザイン)と出会った。そんな経験を生かし、木の家具に布地や紙のひもを合わせるなど、素材の持ち味を生かしたデザインを発表してきた。
代表作は数々の賞を受賞した「ゲオ」。長男のゲオが肺炎にかかったときに製作していた作品で、学校に行けず退屈した息子が、「ママ、どうしてこの椅子の脚はこうなってるの?」などと彼女を質問攻めにしたのだとか。息子との対話がヒントとなり、ユニークな作品に仕上がった。「息子もデザインの過程に参加した、思い出深い作品なんです。私自身も、家具作りが趣味だったスウェーデンの祖父にとても影響を受けました」
見た目は木製スツールに革ひもでクッションを括っただけのシンプルなもの。ただ実際に傍に寄ってみると触りたくなる「ハプティック・デザイン」だ。彼女にとってデザインとは何かと尋ねると、「コミュニケーション」という答えが返ってきた。
控えめながら、静かに語りかけ、触ってみたくなるような作品たちは、日本人の感性にも響いてくる。
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クリスティーナ・リルヨンバーグ・ハルストロム/1977年生まれ。スウェーデン人の母とデンマーク人の父を持つ。2007年にデンマーク王立芸術アカデミーを卒業。木やウール、レザーなどを用いた、温かみのあるデザインが特徴。「デザイン・ネイション」、「レ・クリント」、「スケアラック」などから作品を発表している。「Georg スツール」が2014年レッド・ドット賞やアンビエンテ・デザイン・プラス賞を受賞。
Photo:MORTEN LARSEN Text:YUKI YAMADA JORGENSEN
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問い合わせ先/スケアラック ショップ tel. 089-907-4555
http://skagerak.jp/
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