【1990年代】オスカーが手に入るドレス辞典
イギリスのマーケティング会社Big Groupが2014年に作成した歴代オスカー女優たちの受賞ドレスのインフォグラフィックが今年リニューアルして発表され、話題を呼んでいる。そこで、歴代オスカードレスを写真で一気見。受賞作品とともに100年の歴史を振り返って、“オスカーを獲れるドレス”の傾向と対策をみんなでレッツ推測! 第六回目は、1990年代をお届け。

1990
ジェシカ・タンディ『ドライビング Miss デイジー』
ドレス:「ジョルジオ・アルマーニ」
セルッティのもとで働いていたアルマーニは、セルッティを通じてイタリアやフランスの映画界とファッションとの繋がりに初めて触れた。『甘い生活』のアニタ・エクバーグ、『ボルサリーノ』でのアラン・ドロンとジャン・ポール・ベルモンド、イヴ・モンタンやカトリーヌ・ドヌーブも顧客だった。そして、「アルマーニ」の名前が全米に知られることになったのが『アメリカン・ジゴロ』、『マイアミ・ヴァイス』への衣装提供。セルッティも負けじとハリウッドで働いたが、リターンは少なかった。というのも、衣装代が支払われるどころか、逆に対価を求められていたのだ。ところがアルマーニは宣伝担当者を置き、ハリウッドでより優位に物事を進めていた。まず本人が“セレブリティ”だった。リー・ラジウィルなどの力を借り、セレブリティ達から絶大な信頼を得ることに成功し、映画『48時間』『アンタッチャブル』などではオープニングクレジットに彼の名前が出るほど。
そして90年代、セレブゴシップは欠かせないニュースとなり、スターがやることなすこと、着る服が良くても悪くても話題になった。すべてが大衆の目に晒されてしまい、ジャッジされることに不安を感じたセレブリティ達が「失敗が少ない」とトップスタイリストに頼り、そうして最終的にアルマーニに皆が頼るようになるのも時間の問題だった。
Photo:GETTY IMAGES Text:Ryoko Tsukada