ニュース 2017/2/27(月)

大アクシデント! 第89回アカデミー賞作品賞発表ミスの顛末

史上初といってもいいほどの大アクシデントとなった第89回米アカデミー賞の作品賞受賞発表。ことの顛末は……。

「作品賞は『ムーンライトです』」と自ら発表する、『ラ・ラ・ランド』プロデューサー、ジョーダン・ホロウィッツ。

Photo : Getty Images

ダイバーシティを前面に押し出し、ハリウッドが一丸となって頑張った……はずが最後の最後で台なしに! それはいちばん最後に発表される作品賞のアナウンス時。
 
プレゼンターとして登場した、ウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイという往年の大俳優2名が、手にした封筒を開けたところ、ウォーレンが微笑みつつも怪訝な顔をしながら「これ、おかしくないか?」とでも言いたそうにまごまご。読むのをためらいながら、隣のフェイ・ダナウェイに差し出したところ、彼女は記載してある作品名『ラ・ラ・ランド』をそのまま読み上げてしまった。
 
 
実はウォーレンが戸惑っていたのは、そこに作品名とともにプロデューサー名が書いてあるはずなのに、なぜかエマ・ストーンの名前があったから。「見間違いか? いや、違う。ちゃんと書いてある……。でももしかしたら目の錯覚かも」と迷ったのかどうかはわからないけれど、自分の目に自信がなくなったウォーレンは、フェイに読み上げてもらったというわけ。しかし、その封筒自体が間違い。なぜか直前に発表された「主演女優賞」の封筒がプレゼンター2名に手渡されてしまっていた。
 
呼ばれた『ラ・ラ・ランド』チームは登壇し、テレビのアナウンスも「7つ目の受賞となります」と発表。同作品のプロデューサーは「大胆にダイバーシティを打ちだしていきたい」「抑圧こそが敵」といったポリティカリィコレクトなポイントを押さえつつ、スピーチを進めた。

 

ジョーダンから『ムーンライト』の監督バリー・ジェンキンスに手渡されるオスカー像。

でも、そのとき彼の後ろでは進行係が大わらわ。プロデューサーの後ろに位置取りをしていたエマ・ストーンの顔はみるみるうちに変わっていき、最後には深刻な顔で「オーマイガ」と口走るまでに。
 
事態を把握した『ラ・ラ・ランド』のプロデューサー、ジョーダン・ホロウィッツは、改めてウオーレンに渡された正しい封筒から出しかけていたカードを奪い取るように掲げ「間違いがありました。これは冗談ではありません。作品賞は『ムーンライト』です」と発表した。
 
一度手にしたオスカーを、人に譲るなどという事態は前代未聞。しかし、黒人社会の深刻な実像を低予算で真剣に描いた『ムーンライト』に渡されるべきオスカーが、往年のミュージカル映画をなぞったいわば“白人映画”である『ラ・ラ・ランド』に一瞬でも奪われたという構図は、無益な論争を生みかねない。あえて、直接『ムーンライト』に渡す形にしたジョーダンの機転はさすがハリウッドの住人といった感じ。案の定『ムーンライト』側は少し感情的なスピーチになっていて、最後に司会のジミー・キンメルが「私の会で騒動が起こるとは……もう二度と呼ばれないと思う」と自虐で落としても収集しきれない様子。
 
夜遅くに終了するアカデミー賞。現地時間の明朝の各局ニュースではおそらく大きく取り上げられるはず。ABCかアカデミー運営側は公式謝罪をする羽目になりそう。

以下、みるみる変わっていくエマ・ストーンの表情に注目。

檀上にひとつしか存在してはいけない封筒が二つ……。

  • Photo : Getty Images

SHARE THIS ARTICLES

前の記事へニュース一覧へ次の記事へ

CONNECT WITH ELLE

エル・メール(無料)

メールアドレスを入力してください

ご登録ありがとうございました。

ELLE CLUB

ようこそゲストさん

ELLE CLUB

ようこそゲストさん
ログアウト