パリで活躍する日本人 【vol.1 Maori Murotaさん】
パリのフード業界で活躍する日本人の方々に、パリ移住のきっかけから日本人としてパリで働くコツ、お気に入りアドレスまでを聞くスペシャルインタビュー。vol.1は、ファッション界から未経験で料理の世界に飛び込み、和食をアレンジしたケータリングや料理教室が大人気の、Maori Murotaさんが登場。
パリのお気に入りレストランは?
―今後はどんな活動に力を入れたいと思っていますか?
今やっているケータリングの仕事を続けていきたいですね。あとは野菜を使った料理をもう少し前面に出したイベントやお店ができたらいいなと思っています。最近はベジタリアンの人も増えてきたので、徐々に受け入れられるようになってきているとはいえ、一般的にはまだ「ベジタリアンの料理は、あまりおいしくない」というイメージがあるかもしれません。だから、そのイメージを変えるために、今春のファッションウィークのケータリングからは「必ず肉を使ってください」と言われない限りは、ベジタリアンの料理を作るようにしているんです。これまで試したところ、誰にも「肉はないの?」とは言われず、好評を得ています。はっきりと“ベジタリアン”という壁を作るのではなく、“みんなのためのベジタリアン”といった提案をしていきたいですね。
―いまパリでは、どんな食のトレンドがありますか?
外国人のシェフがとても多いですね。お料理もタパスのように、前菜、メイン、デザートなどを好みで順不同で選べたり。あとは、ソース使いで勝負するというよりも、「季節の旬の素材を、こうして組み合わせるとおいしい」といった提案法が流行っていて、とても素敵だと思います。20年くらい前はベジタリアンのレストランはほとんどなかったし、魚料理というと、よほどきちんとした店にいかないとメニューにあるのはサーモンばかりだったりしたものです。でも今では多くの種類の魚が出回っているし、お肉も長期熟成のものがあったりと、人々が自分の食べるものをきちんと選ぶようになってきているのも、いい点だと思います。
★Maoriさんのお気に入りレストラン&カフェ in パリ
「Au Passage」
http://www.restaurant-aupassage.fr/
北マレのFilles du Calvaire界隈にあるレストラン。パリでいちばん好きなレストランで、三日連続で訪れたことも。イギリス人シェフのエドワードさんが作るタパス形式の料理は、シンプルだけれどひねりが効いていておすすめ。
「Dersou」
http://www.dersouparis.com/
関根 拓さんの作る料理は、テクニックとエスプリに富んでいて大好き! プロの料理人さんって、すごいと思います。拓さんは本当に自分が好きなものを作っていて、コンセプトがブレないところが素敵です。私にとっては特別なときに訪れるレストランです。
「Sésame」
http://www.au-sesame.com
このカフェでも、イベントをさせて頂いたことがあります。スタッフがとても感じがよくて気に入っています。
「Bonjour Vietnam」
6, rue Thouin 75005 Paris
ベジタリアンのベトナミーズレストラン。ここの生春巻きが、パリでいちばん! 家族経営の店で、奥様が作る生春巻きは肉を入れず、揚げた豆腐やきのこが入っていて、とてもおいしいんですよ。
「Ob-La-Di」
https://www.facebook.com/ObLaDiParis
「April 77」のオーナーが手掛けた、最近マレ地区にできたばかりのカフェ。メニューはシンプルですがグラノーラがとてもおいしいし、コーヒーは酸味が少なくて優しい味わいです。
photo : Koji Hirano coordination & text : Masae Hara
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Maori Murota/1979年、福岡生まれ。1996年にNYの大学に留学後、2003年に渡仏。2006年~2009年まで、クリストフ・ルメールのアシスタントを務める。2009年、ケータリングを開始。2014年、レシピ本『Tokyo Les Recettes Culte』を発売。現在はイベントのケータリングや料理レッスンを手掛けるほか、レストラン「Verre Volē Sur Mer」で“Bento”スタイルのランチを担当(月曜~木曜)。ワインカーブ「La Cave de Daron」では不定期で居酒屋イベントも行う。
instagram : @maorimurota
email : maorigohan@gmail.com