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好きな男には“理解”よりも“共感”を!

この映画は現実をよく描いていて、きれいごとにしていないのがいいですね。登場人物はみんな傷を抱えているけど、若い頃は余裕もないし自分が大事だから、傷つくのは仕方ないこと。「誰が悪い」という話ではなくて、恋愛がうまくいかないのは本人の問題です。失敗したり痛い目にあわないと、自分は何者かっていうことがわからないし、人に優しくできないですからね。相手が悪いんでも本人が悪いんでもなくて、苦しい恋愛というのは「自分とは何者か」を知るために、してしまうんです。意味のない恋愛はないんですよ。現実の人生はなかなかうまくはいかないけれども、でも、人生って良くなるしかない(悪くしてしまうのは、自分はダメなんじゃないかっていう気持ちなんです)。3人が車でトンネルを抜けていくシーンは、それを象徴していると思います。
 
恋愛って、付き合う相手のことを“理解してあげる”だと上から目線になっちゃうから、“共感する”ことが大事なんじゃないかな。相手を支配するためにわかってあげるんじゃなくて、そうなんだねって共感するしかない。人ってそれぞれ、親との関係とか、子供のころに何かがあって「その人」ができあがっているわけだから。好きな男性の内面の問題を“解決してあげる”みたいな傲慢さが出ると母親モードになっちゃうからよくないんだけど。ちゃんと深く付き合っていると、どこかで相手の“心の穴”は見えるものだから。それをわかってあげるのは大事ですよね。根掘り葉掘り聞き出す必要はないですけどね。
 
しかし、この映画を観ていても、まぁ、うまくいかないもんだね(笑)。やっぱり恋というのは、自分を傷つけるものに惹かれてしまうことなのかもしれないね。この映画は若者の話だけど、いい歳になっても、恋愛の渦中にいるとなかなか見えないものです。
 
■今回の格言/「意味のない恋愛はない!」
 

  • 『ウォールフラワー』
    エマ・ワトソン、エズラ・ミラー、ローガン・ラーマンという最旬の若手キャスト共演で、同名ベストセラー小説を映画化した青春ドラマ。主人公のチャーリーは小説家志望の16歳。高校ではスクールカーストの最下位に位置付けられ、友達もゼロ。クラスメートの輪に入れず孤独な毎日を送っていたが、陽気なパトリックと美少女サムという兄妹との出会いで、彼の高校生活は一変。初めてできた友達、仲間、そして恋。しかしある事件をきっかけに、チャーリーたちの友情は崩れ始めていく。
     
    監督・原作・脚本/スティーブン・チョボスキー
    出演/ローガン・ラーマン、エマ・ワトソン、エズラ・ミラー
    配給/ギャガ
    公式サイト/wallflower.gaga.ne.jp
    2013年11月22日(金)~、TOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次ロードショー

「【第1回】 『ウォールフラワー』から読み解く、“意味のない恋愛はない!”」トップへ
  • 二村ヒトシ/アダルトビデオ監督。1964年六本木生まれ。慶應大学文学部中退。1997年にAV監督デビュー。痴女もの、レズビアンものを中心に独創的な演出のアダルトビデオ作品を数多く手掛けるかたわら、『すべてはモテるためである』(イースト・プレス刊)、『恋とセックスで幸せになる秘密』(同)などの著書で、恋愛やモテについて鋭く分析。女性とセックスを知り尽くした見識に定評がある。最新刊『淑女のはらわた』(洋泉社刊)も好評発売中。
    http://nimurahitoshi.net/

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