>
<

(C) 2013 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

2/3

美女なのに幸せな恋愛ができないサム

で、チャーリーが思いを寄せる美女サム(エマ・ワトソン)、彼女は彼女で問題を抱えている。美人だし、一見ひねくれずに人生を楽しんでいる学園のアイドルなんだけど、自分を幸せにしない男たちとばかり付き合ってしまう。ヤリチンとばかり縁を持ってしまう美人というのも現実にたくさんいます。サムの場合は、離婚している母親が苦しんだであろうトラウマの“負の連鎖”をサム自身が断ち切るしかないわけです。
 
人って、そう簡単に「合う人」とは結ばれないものです。人生は長い旅なんだと思って、ゆっくり周っていかないと幸せになれない。いきなり理想の相手には出会えないから、いっぱい傷ついて傷つけあって、なぜ自分が「そういう恋愛をしてしまうのか」ということを考えてみることが重要です。サムが付き合う“一人の相手と誠実に向かいあえない男たち”にも、たぶんそれぞれが抱えているトラウマや孤独があるんだけど、それを女性が癒してあげることはできません。彼らは女性が自分に恋をすると、つけあがりますから。そして、サムの彼氏が彼女にしていることと同じことを、チャーリーもメアリーに対してやっているんですね。草食男子もヤリチンも、女性をうまく愛することができないわけです。
 
そしてもう一人、サムの義理の兄・パトリック(エズラ・ミラー)。彼はゲイなんだけど、登場人物の中ではいちばんのびのびしていて、元気。それは彼が最初から社会と戦っていて、本来が孤独だからこそ明るく振舞えるという部分があるんじゃないかな。この映画は田舎の学校が舞台だから彼の才能もきらめくけど、卒業して都会に行ったら才能のある人がごろごろいて、どうなるかわからないかもしれないけど。

  • 『ウォールフラワー』
    エマ・ワトソン、エズラ・ミラー、ローガン・ラーマンという最旬の若手キャスト共演で、同名ベストセラー小説を映画化した青春ドラマ。主人公のチャーリーは小説家志望の16歳。高校ではスクールカーストの最下位に位置付けられ、友達もゼロ。クラスメートの輪に入れず孤独な毎日を送っていたが、陽気なパトリックと美少女サムという兄妹との出会いで、彼の高校生活は一変。初めてできた友達、仲間、そして恋。しかしある事件をきっかけに、チャーリーたちの友情は崩れ始めていく。
     
    監督・原作・脚本/スティーブン・チョボスキー
    出演/ローガン・ラーマン、エマ・ワトソン、エズラ・ミラー
    配給/ギャガ
    公式サイト/wallflower.gaga.ne.jp
    2013年11月22日(金)~、TOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次ロードショー

「【第1回】 『ウォールフラワー』から読み解く、“意味のない恋愛はない!”」トップへ
  • 二村ヒトシ/アダルトビデオ監督。1964年六本木生まれ。慶應大学文学部中退。1997年にAV監督デビュー。痴女もの、レズビアンものを中心に独創的な演出のアダルトビデオ作品を数多く手掛けるかたわら、『すべてはモテるためである』(イースト・プレス刊)、『恋とセックスで幸せになる秘密』(同)などの著書で、恋愛やモテについて鋭く分析。女性とセックスを知り尽くした見識に定評がある。最新刊『淑女のはらわた』(洋泉社刊)も好評発売中。
    http://nimurahitoshi.net/

SHARE THIS ARTICLES

前の記事へ特集一覧へ次の記事へ

CONNECT WITH ELLE

エル・メール(無料)

メールアドレスを入力してください

ご登録ありがとうございました。

ELLE CLUB

ようこそゲストさん

ELLE CLUB

ようこそゲストさん
ログアウト