主人公は典型的な“受け身”の草食男子
この映画の登場人物は、みんなそれぞれ心の傷を抱えています。まず主人公のチャーリー(写真中央/ローガン・ラーマン)は、すごく受け身の草食男子で、好きな相手に好きと言えない。映画の後半で彼の過去のトラウマが明らかになっていきますが、自分の欲望に素直になれない、自分から相手にいく資格がないと思っているわけです。
彼は美人のサム(写真左/エマ・ワトソン)が好きなんだけど、自分を好きになってくれるメアリーが現れて付き合うことにする。本当はメアリーには萎えてるんだけど、無価値な自分に向こうから来てくれた相手を傷つけちゃいけないと思って、ピンとこないけど別れる理由がないからズルズル付き合ってしまう。世の中にはこの2人みたいなカップル、けっこういると思いますよ。全然嫌いじゃないから一緒にいれちゃうんだけど、この人のことを愛してないよなぁ、的な。彼が別れられないのは、彼女を傷つけまいとするからなんだけど、別れてみたら女の人はすぐに他の男性を見つけたりするわけで、あんまり心配しなくていいんだよね。自分が人を傷つけるというリスクを背負うしかないんです。人には人の生命力があるんで、あんまり他人に遠慮していても始まらない。これはどちらかというと男性に言うべ きことなんですけどね。
メアリーは草食男子の彼にイライラしてるわけですよ。彼が彼女の大切な話を聞いてくれないから。まぁ、さっさと別れて正解なんですけれども。女性のみなさんは自分がメアリーになっていないか気を付けたほうがいいよね。相手が興味をもってない話を電話でえんえんしゃべってないかどうか、とか(笑)。
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『ウォールフラワー』
エマ・ワトソン、エズラ・ミラー、ローガン・ラーマンという最旬の若手キャスト共演で、同名ベストセラー小説を映画化した青春ドラマ。主人公のチャーリーは小説家志望の16歳。高校ではスクールカーストの最下位に位置付けられ、友達もゼロ。クラスメートの輪に入れず孤独な毎日を送っていたが、陽気なパトリックと美少女サムという兄妹との出会いで、彼の高校生活は一変。初めてできた友達、仲間、そして恋。しかしある事件をきっかけに、チャーリーたちの友情は崩れ始めていく。
監督・原作・脚本/スティーブン・チョボスキー
出演/ローガン・ラーマン、エマ・ワトソン、エズラ・ミラー
配給/ギャガ
公式サイト/wallflower.gaga.ne.jp
2013年11月22日(金)~、TOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次ロードショー
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二村ヒトシ/アダルトビデオ監督。1964年六本木生まれ。慶應大学文学部中退。1997年にAV監督デビュー。痴女もの、レズビアンものを中心に独創的な演出のアダルトビデオ作品を数多く手掛けるかたわら、『すべてはモテるためである』(イースト・プレス刊)、『恋とセックスで幸せになる秘密』(同)などの著書で、恋愛やモテについて鋭く分析。女性とセックスを知り尽くした見識に定評がある。最新刊『淑女のはらわた』(洋泉社刊)も好評発売中。
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