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男がいないと生きていけないヒロイン

彼と彼女はセックスから始まって付き合うようになるんだけど、運命の2人として描かれてるわけではない。ホアは、決して男の心に寄り添わないんです。だから男のほうが「他の男に行っちゃうんじゃないか」と嫉妬して、おかしくなっていく。ホアが自分の中に抱えている空虚な穴が、男性との関係では決して埋まらないこと、彼女自身もわかってるんじゃないかな。わかっているのに埋めようとして、いろんな男から愛されたくて、自分から離れていく男にも執着する。
 
男からすると、ホアみたいな女の人には近寄らないほうが安全なんだと思うんだけど、つい行っちゃうんだよね(笑)。ところが彼女はセックスをすると男を精神的に傷つけてしまう女なんです。そしてセックスがないと生きていけない。寂しがり屋なんです。「結婚をして幸せになる」っていうのが常識の世の中では彼女は一種の病気かもしれない。それを「セックス依存」あるいは「恋愛体質」と呼ぶのは簡単だけど、我々だって、もしかしたら無自覚に誰かの心を食って生きているのかもしれないし、人生のある時期に彼女みたいに恋愛を繰り返してしまう女性は、現代のどこの国にも少なからず存在するんじゃないかな。

  • 『パリ、ただよう花』
    監督・脚本/ロウ・イエ
    出演/コリーヌ・ヤン、タハール・ラヒム
    配給/アップリンク
    公式サイト/http://www.uplink.co.jp/hana/
    2013年12月21日(土)~、渋谷アップリンク、新宿K's シネマほか全国順次公開

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  • 二村ヒトシ/アダルトビデオ監督。1964年六本木生まれ。慶應大学文学部中退。1997年にAV監督デビュー。痴女もの、レズビアンものを中心に独創的な演出のアダルトビデオ作品を数多く手掛けるかたわら、『すべてはモテるためである』(イースト・プレス刊)、『恋とセックスで幸せになる秘密』(同)などの著書で、恋愛やモテについて鋭く分析。女性とセックスを知り尽くした見識に定評がある。最新刊『淑女のはらわた』(洋泉社刊)も好評発売中。
    http://nimurahitoshi.net/

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