聖子と明菜どっちがお好き? ミレ二アル世代がハマる「昭和歌謡」
2018/05/01(火)
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明菜派の垣畑さんは「ミ・アモーレ」(1985年)、聖子派の須田さんは「天国のキッス」も入っている『ユートピア』(1983年)のレコードをセレクト。

ミレ二アルズから見た昭和歌謡③

昭和歌謡の入り口に最適な「松田聖子 VS 中森明菜」

―今回、昭和歌謡かつアイドルブームの象徴として、スポットライト新宿店に松田聖子と中森明菜のレコードを用意してもらいました。ライバルとして語られることも多いアイコンですが、おふたりは彼女たちについてどう思いますか?

垣畑:私は断然、中森明菜派ですね。というか、中森明菜っぽくなりたい(笑)。普通にアイコンとして憧れていますね。今まであったアイドルという概念を覆したパンク的な部分もすごくカッコよくて、自分のジャンルを確立しているところに特に憧れますね。松田聖子みたいなアイドルの王道に対するカウンターで、当時ものすごい衝撃だったんだろうなということを私も感じます。

須田:僕はキャラクターでいえば松田聖子さんがすごく好きです。70年代のアイドルブーム後に山口百恵さんが等身大のアイドルらしくない姿を見せて引退したという象徴的な出来事があった。そのあとに“ぶりっ子”でアイドルを演じ直す松田聖子さんが出てきたっていう、まるで大きな舞台の主人公のようにキャラクターが成り立っているんですよね。そういう“ザ・アイドル”というキャラクターが魅力的だと思います。音楽としては松田聖子さんも中森明菜さんもどっちも好きです。ほぼ同時代の音楽なのに全然違うんですよ。声質もそうだけど、メロディーの感じも全然違うし、それぞれに魅力がありますね。

 

聖子派の須田さんセレクト
『ユートピア』(1983年)
※動画は同タイトルに収録されている「天国のキッス」

第25回日本レコード大賞(1983年)においてベストアルバム賞を獲得。細野晴臣が松田聖子のために初めて作曲したシングル曲「天国のキッス」も収録。(作詞は松本隆)同曲のオーケストラがYMO仕込みのテクノサウンドであることが、当時の松田聖子の歌曲では珍しく、前衛的だと話題に。ジャケットは、「聖子ちゃんカット」のモデルとも言われるオリビア・ニュートン=ジョンのアルバム『水のなかの妖精』(※1) のジャケット写真のオマージュという噂も。

 

明菜派の垣畑さんセレクト
中森明菜「ミ・アモーレ」(1985年)

中森明菜は同曲で、第27回日本レコード大賞で日本レコード大賞を受賞。「北ウイング」以来となる康珍化(※2) が作詞し、作曲と編曲は日本のラテンフュージョンミュージシャンで、ジャズ・ピアニストでもある松岡直也(※3) が手掛けた。最初は、スペイン語とイタリア語が混ざった現実には存在しない単語「Mi Amore」として発表されたが、炎上したことから無理やりポルトガル語の「Meu amor é・・・」に修正。しかし、これもあまり使われない言葉だったという指摘も。曲自体は、中南米音楽やタンゴといった要素を導入した楽曲で、音楽筋からの評価も高い一曲。

  • (※1)ミュージカル映画『グリース』でジョン・トラボルタの相手役としても有名な歌手、オリビア・ニュートン・ジョンの1976年のアルバム。松田聖子がデビュー当時にしていた髪型“聖子ちゃんカット”はオリビアの髪型を意識したんではないかという諸説もある。また、松田聖子が1983年にリリースした『ユートピア』のジャケットは、『水の中の妖精』(Come On Over)のジャケットをオマージュしている。

  • (※2)かんちんふぁ。1979年にアン・ルイスの「シャンプー」(作曲・編曲・プロデュースは山下達郎)で作詞家デビュー。作曲家の林哲司とのコンビで数多のヒット曲を送り出した。中森明菜の「北ウィング」や「ミ・アモーレ」、「涙の形のイヤリング」の作詞を担当。2000年代も、キンキキッズの「夏の王様」やBoAの「メリクリ」を手掛けるなど、ヒットを連発。

  • (※3)ジャズ・ピアニスト、ラテンフュージョンミュージシャン、作曲家、編曲家。独自のラテンビートとセンチメンタルな美しいメロディーが特徴的。レコード大賞を獲得した1985年の中森明菜のヒット曲「ミ・アモーレ」を手掛けた。松岡直也率いるバンドには、プリズムの和田アキラや木村万作、大橋勇など日本の有名なフュージョン・ミュージシャンが在籍していた。2014年、前立腺がんにより死去。

Photo: Nobuki Kawaharazaki Interview & Text: Kenta Terunuma Special Thanks: Spotlight Shinjuku

  • 須田洋次郎/1987年生まれ。2009年、東京にて結成した4人組のバンド「ミツメ」のドラムを担当。オーソドックスなバンド編成ながら、各々が自身のパートにとらわれずに自由な楽曲を発表。そのときの気分でいろいろなことにチャレンジすることがバンドのモットー。最新曲は「エスパー」。最近は国内のみならず、中国や台湾、韓国、ロサンゼルスなど海外でもツアーを開催し、「WWMM」と題した自主イベントも企画。DJや野球観戦、お菓子作りなど趣味も多彩。
    Instagram: @yoyooo_sd
    Twitter: @yojirooo

  • MAYU KAKIHATA(垣畑真由)/1995年生まれ。レコードショップ、「ディスクユニオン」で働きながらクリエイティブ活動・DJなど趣味を最大限に楽しんでいる22歳。高校生の頃に「ディスクユニオン」で働き始め、そこで培った音楽愛を活かし夏には自らマガジンを出版予定。
    Instagram: @kakihatamayu

  • ミツメ 最新シングル「エスパー」
    mitsume 
    7インチアナログ盤 ¥1,500
    CD ¥1,000
    http://mitsume.me/esper/

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