数値で判明! “理想の女子像”が若者を抑圧する日本の実情
「女尊男卑だ!」と言われるまで力をもったと言われる日本人女性。それって本当? 世界最大の広告会社グループWPPの中核企業、ジェイ・ウォルター・トンプソンが世界中で実施した調査でわかったのは、一元的な“あるべき女性の生き方”像が、若い女性達の閉塞感を生み出している日本の現状。そんな“不都合な真実”を同社ディレクターの大橋久美子さんが解析!
“あるべきライフコース”をたどれない自分への葛藤
さらに問題なのは、世の中の価値基準はそうだとしても、彼女たちは「自分は子供を作る予定はない・わからない」と考えているということ。その理由も、山口智子的な意志のある「子のない人生」の選択ではなく、漠然として消極的なものしか上がっていません(他国では、キャリアのため・やりたいことがあるからと言った理由が挙がっているが、日本ではパートナーがいないから、または経済的な理由が挙げられています)。
専業主婦が贅沢な選択となり出産後も働き続けることが必然となっているにも関わらず、長時間労働を強いられる男性主導の職場労働環境と、変わらず妻偏重の家事労働環境のギャップの中で、両立を果たせるのはスーパーウーマンだけ。自分はああはなれないと思うと子供が欲しいとは思えない……。結果、“あるべきライフコース”がどんどん遠のいていく。
データが示唆しているのは、自分さえも望んでいない“女性はこう生きなきゃいけない”といったルールに自分を照らし合わせ、そこに向かっていけない自分を否定するという悪循環のループにはまっている女性達の現状です。働き方も男女意識もこのままではいけないのは間違いないけれど、葛藤や自信のなさを抱えている若い女性は一度立ち止まって考えてみる必要があります。あるべき基準に自分をあてはめて、自分を責める必要なんてない。“こうでなきゃ”というルールから一度自由になって、自分が生きたい生き方を考えることから、日本の女性が本当に輝く社会は始まるのだと思います。
Text: Kumiko Ohashi
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※日中米英印等14カ国/18~70歳女性各国500人/人口による年齢割付/オンライン調査/2016年実施
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大橋久美子/東京大学文学部社会学科卒、博報堂マーケティング局、研究開発局を経て、2003年ジェイ・ウォルター・トンプソン・ジャパンに入社。広告業界で25年、アジアや日本の女性たちと向き合いながら、女性たちを輝かせるためのブランディングを行う。