特集
2016/10/31(月)
ELLEonline20周年記念企画

働く女性とウェブの20年史【開拓期編】

エル・オンラインがスタートした1996年を起点に、「ウェブの歩み」と「働く女性」の20年の歴史をひも解く特別連載。第三回となる今回は、メディアが紙からウエブへ移行する過渡期に出版に携わり、代表として「インフォバーン」を立ち上げてからも日々情報の流通の変遷を目の当たりにしてきた、今田素子さんが登場。二児を出産し育てながらウェブ業界の荒波を渡ってきたスーパーワーキングマザーが、当時を振り返る。

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Photo: Getty Images

女性が働きやすくなるためには周囲の意識改革も必要

今後、女性がより働きやすい世の中にシフトしていくためには、社会に属する一人ひとりの意識改革が必要だと、今田さんは語る。
 
「社会を見ていると、仕事と子育ての両立を支援する制度やシステムがある程度整っていても、『利用したら周りに迷惑をかけるかも』『白い目で見られそう』など、享受する側に心理的なハードルがあって利用できないというケースが多い。それはもう、周りを含めて全員が意識を変えていかないといけないですよね。自分が許してもらうから、相手の何かも許す、といったふうに、許容する力や寛容さが必要。つまり、ダイバーシティが絶対的に浸透しなくてはいけないと思います」
 
自社の具体的な目標としては、女性の執行役員や管理職など、上層のポジションに就く女性の数を増やしていくこと。ただ、これは今田さんの会社に限ったことではないが、女性で今、マネジメント層に上がりたいという人は少ない。「上に立って部下を動かすことにはプレッシャーがつきまとう」「物事をロジカルに組み立てるよう求められるのがつらい」「女性同士のマウンティングがある」など、その理由はさまざまだが、この状況についても、今田さんはやはり社会全体が意識を変えていかなくてはならないと提言する。
 
「今の社会は男女平等とはいえ、歴史の中で男性が作ってきたルールに女性が合わせている状態です。女性は本来、感性を重視する生き物であるにもかかわらず、社会で男性と対等にやっていくには、男性の側に合わせて、論理的でいなくてはならない。私自身、ロジカルに考える訓練もしてきました。でも、ほんとにそうじゃなくちゃいけないの?と思うんですよね」
 
女性が直感や感性など、女性らしさをそのまま生かしながら、男性と同じように要職に就く。そして、男性も女性もそれぞれの特性や個性を発揮することで、会社が利益を上げ、発展していく。今田さんが遠い未来に見据えるのは、そんな社会であり、女性たちの働き方だ。
 
「ひと昔前のバリキャリの女性には、男の人よりも怖いような人も多かったけれど(苦笑)、もうそんな必要はないんじゃないかなって。もうちょっとシンプルに、女性のよさを押し出していくことができるんじゃないかと思います。今の30代前半の女性たちを見ていると、10年後にはみんないい感じの女性管理職になっているんじゃないかなって、希望的観測として思い描いたりもしています」
 
お互いが尊重し、協力し合う。「AIが人間の仕事を奪う」などという説もささやかれる昨今だが、そんなふに個々が自分らしく活躍できる社会のために、デジタルやテクノロジーの発展が寄与してくれることを祈るばかりだ。

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Text: Kaori Shimura Illustration: Adrian Hogan

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