本気でチェック! 女性を搾取する隠れブラック企業診断
2018/06/05(火)
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石の上にも三年。焼き芋だったらとうに食べごろ。

Illustration: Makomo

9.我慢・忍耐を大切にする

ブラック企業の研修に特徴的なのが、意味のないルーティンワークをこなさせて音を上げないかを見ること。テレビドラマ「Miss デビル 人事の悪魔・椿眞子」の第一話で、研修で新入社員にひたすら穴を掘らせ、土嚢を積ませるというシーンがありましたが、あれはニュースにもなった実在の会社の逸話をモチーフにしています。「ブラックの極致」とネットで炎上したので知っている人も多いかと思います。研修中に企業自らブログで「今日は●●人脱走しました」などとアップしていました。普通にこういう会社はいっぱいあります。ようやくこういうことはおかしいと声をあげる人は増えましたが、まだまだ「社会とはこういう理不尽なものである」と考えている人が多いのかもしれません。セクハラがなかなか表に出て来ないのも、この仕組みと同じです。
 
「ストレス耐性が重要」などと口ばしる会社は要注意です。理不尽なことに耐えさせることで、疑問を抱かせないようにしているのです。7.で説明した、高学歴なのにブラック企業にうっかり就職してしまう女性は、基本的に責任感が強くがんばりやさん。なので、ブラック企業が強いる我慢や忍耐にも忠実になってしまいます。企業選びさえ間違えなければ良い特性をもっているにも拘わらず、組織に忠実だからこそブラックな要求にも懸命に努力してしまう傾向があります。根が深い問題です。これに関連して、ブラック企業は恩義を感じるように仕向けることもあります。辞めようとする社員に「拾ってやった」「育ててやった」「侵入社員には研修費用が掛かっているんだ」などと口に出して言う企業はブラックです。ホワイト企業は「辞めるな」とは言いません。待遇がいいので人も辞めず、ポジションが空いたとしてもいくらでもいい人材が来ますから。こういったことを口にする企業は、いつまでも人材が豊富だったころの時代を忘れられず「選んでやっている」と信じています。すでに自分たちに選ぶ権利なんかないにも拘わらず。

Supervisor: Ryo Nitta

  • Illustration: Makomo

  • 新田龍(にった・りょう)
    1976年奈良県生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。働き方改革総合研究所株式会社代表取締役、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進委員、ブラック企業アナリスト。複数のブラック企業での経験から、契約違反や不当要求など法律では裁ききれない企業の違法行為を司法やマスメディアと協同し解決に導くなど活動する傍ら、企業側の脱・ブラック化のためコンサルティングも手掛ける。「週刊ニュース深読み」(NHK)、「さんまのホンマでっか⁉TV」(フジ)などメディア出演ほか、『ワタミの失敗』(KADOKAWA)、『30代で必ずはじめること、やめること』『「伸びる社員」と「ダメ社員」の習慣』(明日香出版社)など著書多数。

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