本気でチェック! 女性を搾取する隠れブラック企業診断
2018/06/05(火)
> <

5/10

「社員は家族!」と女性に飯炊き洗濯お茶汲み雑用させるの図。あるよね~。

Illustration: Makomo

5.「社員は家族だから!」という雰囲気がある

海外ではごく一部のエリートが経営判断を行い、彼らのアイデアを一般労働者がこなす“ジョブ型雇用”が一般的です。一般ワーカーに与えられた仕事の範囲は決まっていて、給料も上がらない代わりに休みも取れてワークライフバランスをキープ。経営側は逆にものすごく働く代わりにものすごく年収が高い。日本はみんなが同じスタート地点に立って、同じタスクを課せられ、責任が拡大していくと同時に出世もしていくので、「理論上は」誰でも社長になれるチャンスがある。これを“メンバーシップ型雇用”と言います。全社員が同じスタート地点から出発したメンバーで、誰でもが一般の社員だった経験をもち「みんなファミリーの一員だよ!」というムードになる。年次によってある程度役職が上がって行き、その先は実力主義となるわけですが、これは皆がまんべんなく転勤や残業に耐えて成果を上げるシステムなので、より多いタスクをこなすことができた人が出世するという仕組みです。
 
となると出産や育児でブランクができる方が不利なわけです。いくら頑張りたいと思っても出産・育児の負担が女性に傾いている社会では、転勤や残業が難しく、男性に勝てない。裏を返せば、出産・育児を放棄した人間のほうが、効率的に出世しやすくなる。残業フルタイムでこなせる人、週末ゴルフに付き合える人が出世したりします。そういう人は自分と同じような人を取り立てるので、多様性が認められず、「育児休暇を取りたい」と男性が言おうものなら、「出世できないぞ」となります。これが今でも日本の大企業の現実です。「社員は家族だから……」。外面は良いこと言っていますが、中身は変わっていない企業が多いです。

Supervisor: Ryo Nitta

  • Illustration: Makomo

  • 新田龍(にった・りょう)
    1976年奈良県生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。働き方改革総合研究所株式会社代表取締役、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進委員、ブラック企業アナリスト。複数のブラック企業での経験から、契約違反や不当要求など法律では裁ききれない企業の違法行為を司法やマスメディアと協同し解決に導くなど活動する傍ら、企業側の脱・ブラック化のためコンサルティングも手掛ける。「週刊ニュース深読み」(NHK)、「さんまのホンマでっか⁉TV」(フジ)などメディア出演ほか、『ワタミの失敗』(KADOKAWA)、『30代で必ずはじめること、やめること』『「伸びる社員」と「ダメ社員」の習慣』(明日香出版社)など著書多数。

SHARE THIS ARTICLES

前の記事へ特集一覧へ次の記事へ

CONNECT WITH ELLE

エル・メール(無料)

メールアドレスを入力してください

ご登録ありがとうございました。

ELLE CLUB

ようこそゲストさん

ELLE CLUB

ようこそゲストさん
ログアウト