1.給料は安いけど褒めてくれるのでやる気が出る
これは基本なのですが、ブラック企業は人を安く使いつぶす傾向にあります。頑張っても評価せず、いろいろな理由をつけては給料を上げません。「努力」「やりがい」「感謝」「自己実現」などなど、やたらと精神的な訓示的が多い会社になりがちです。通常、会社は報酬や称賛で社員に報いますが、代わりに「これを乗り越えれば成長できる」など抽象的な精神論を語り、目の前に褒め言葉という餌だけぶらさげ一向に給料に反映させないという手段を用います。また、褒めたとしてもそれを給料に反映させたくないので、評価を「昇格」という形に代え、「昇給」しないで済むようにすることもあります。本人がそれでハッピーだったらいいのですが、こうして社員のやる気は搾取されていきます。
Supervisor: Ryo Nitta
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Illustration: Makomo
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新田龍(にった・りょう)
1976年奈良県生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。働き方改革総合研究所株式会社代表取締役、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進委員、ブラック企業アナリスト。複数のブラック企業での経験から、契約違反や不当要求など法律では裁ききれない企業の違法行為を司法やマスメディアと協同し解決に導くなど活動する傍ら、企業側の脱・ブラック化のためコンサルティングも手掛ける。「週刊ニュース深読み」(NHK)、「さんまのホンマでっか⁉TV」(フジ)などメディア出演ほか、『ワタミの失敗』(KADOKAWA)、『30代で必ずはじめること、やめること』『「伸びる社員」と「ダメ社員」の習慣』(明日香出版社)など著書多数。