- 【第一回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
- 【第二回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
- 【第四回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
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ジャスティン・ビーバーも名を連ねる最優秀楽曲賞
今年のノミニ―は5組。そのうちの1曲はジャスティン・ビーバーの「ラブユアセルフ」。この曲にも共作者としてエド・シーランは名前を連ねています。でも、個人的に思うのはジャスティン・ビーバーなら、この曲じゃなくて絶対に「ソーリー」でしょう。トロピカルハウス仕立てのこの曲がEDMブームを完全に闇に葬ったと言ってもいいくらい音楽的にも最強だし、ジャスティン・ビーバーの歌唱も半端ないですから。「ラヴユアセルフ」はわりと簡単なのに対して、「ソーリー」は何度カラオケで挑戦しても上手く歌えません。
続いて、最優秀レコード賞にノミネートされていたルーカス・グラハムの「7イヤーズ」もこちらにノミネート。でも、正直、この曲が獲ったら、僕は机をひっくり返します。かつてはポップスターだった自分自身の境遇を私小説的に自嘲的なユーモアで描いたマイク・ポズナーの「アイ・トゥック・ア・ピル・イン・イビザ」が獲った場合も然り。曲の歌い出しである、「僕がイビザでドラッグやったのは、アヴィーチーにお前イケてるなと思わせたかったから」が気が利いてる以外は、ただ感傷的なだけの曲です。と、おそらく世界中の批評家筋は思っていますが、もし皆さんの気分を害していたら、ごめんなさい。
Text: soichiro tanaka Photo: Getty, Aflo
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田中宗一郎/音楽サイト「ザ・サイン・マガジン」のクリエイティブディレクター、音楽評論家、DJ。1963年、大阪府出身。雑誌『ロッキング・オン』副編集長を務めたのち、1997年に自ら音楽雑誌『スヌーザー』を創刊。その後、2013年秋にWEBメディア「ザ・サイン・マガジン」を開設。『スヌーザー』がオーガナイズするクラブイベント、クラブ・スヌーザーは全国各地にて現在も開催中。@soichiro_tanaka