- 【第一回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
- 【第二回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
- 【第四回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
- 【第五回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
今年いちばんのソングライターを決定
おそらく「最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞はどう違うの?」という方もたくさんいらっしゃると思います。説明するとすれば、最優秀レコード賞が“曲”に与えられる賞で、こちらの“最優秀楽曲賞”はソングライターに与えられる賞です。もっとも現在のメインストリームのポップソングというのは、厳密にはソングライティングとプロダクションを分けることができない作りになっているので、この区分けもかなり意味がなくなりつつあるのですが。
昨年の受賞はエド・シーランの「シンキング・アウト・ラウド」でした。「そんなにヒットしてたっけ?」と思う方もいるかもしれないですよね。僕なら間違いなくケンドリック・ラマーの「オールライト」を選びました。まあ、この辺りがグラミー賞の保守的な価値観でもあるわけですが、ただ、これはソングライターに与えられる賞。そう考えれば、これまでもずっと自分の作品以外にもワン・ダイレクションやテイラー・スウィフトに楽曲を提供することで2010年代のメインストリームポップの潮流を再定義してきたエド・シーランに賞が与えられたのは妥当とも言えます。
Text: soichiro tanaka Photo: Getty, Aflo
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田中宗一郎/音楽サイト「ザ・サイン・マガジン」のクリエイティブディレクター、音楽評論家、DJ。1963年、大阪府出身。雑誌『ロッキング・オン』副編集長を務めたのち、1997年に自ら音楽雑誌『スヌーザー』を創刊。その後、2013年秋にWEBメディア「ザ・サイン・マガジン」を開設。『スヌーザー』がオーガナイズするクラブイベント、クラブ・スヌーザーは全国各地にて現在も開催中。@soichiro_tanaka