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3強ほかは2組のバンドがノミネート
21パイロッツは2010年代後半を代表するロックバンドです。2000年代から2010年代前半を代表するロックバンドというのは、ずっとマルーン5だったと思うんですが、昨年の勢力図を書き換えたのがこの21パイロッツ。歌はほとんどラップ、メンバーも2人。「これがロックなの?」と思う方もいるかもしれませんが、ポップとヒップホップ、R&Bが全盛の時代に適応したロックの新しい形が彼らです。でも、3強と比較するとメッセージ性や音作りにおいては、インパクトに欠けます。
もう一組、ルーカス・グラハムはうっすらとソウルの影響を受けたポップバンド。ノミネートされてる「7イヤーズ」という曲も人生の不確かさについてエモく歌うという、ごく普通の泣きのバラード。ただ彼らはコペンハーゲンにある「クリスチャニア」という1000人にも満たない小さな自治コミュニティの出身。1960年代のヒッピー的な価値観を持っているというか、かなりスピリチュアルです。こうした自己啓発的な機能を持ったスピリチュアルな曲が支持されるというのも、ポップソングが時代の映し鏡だという証明かもしれません。
いずれにせよ、年間最優秀レコード賞がリアーナ、ビヨンセ、アデルという3強の闘いになるのは間違いない。2016年を代表する曲はどれか。ぜひ、注目してください。
Text: soichiro tanaka Photo: Getty, Aflo
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田中宗一郎/音楽サイト「ザ・サイン・マガジン」のクリエイティブディレクター、音楽評論家、DJ。1963年、大阪府出身。雑誌『ロッキング・オン』副編集長を務めたのち、1997年に自ら音楽雑誌『スヌーザー』を創刊。その後、2013年秋にWEBメディア「ザ・サイン・マガジン」を開設。『スヌーザー』がオーガナイズするクラブイベント、クラブ・スヌーザーは全国各地にて現在も開催中。@soichiro_tanaka