- 【第一回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
- 【第二回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
- 【第三回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
- 【第五回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
マルチな才能を魅せるドレイク
ドレイクは前述した“マッチョなのか、ウジウジしたナードなのか、わからない”という絶妙なキャラクターも含め、このSNS時代に即した形でさまざまな自分自身のネタを発信、それを作品に見事に取り込むことで、2010年代を代表する“ラッパー兼シンガー兼プロデューサー”として栄華を築いてきました。乱暴に日本に当てはめると、星野源ちゃんをいい意味でギトギトさせたパワーアップバージョンですね。音楽も優れているんですが、それと同じくらいにポジショニングトークやトレンドの先取り、その絶妙なタイミングと、とにかく椅子取りゲームに長けている。
なので、2016年を代表する最大の人気者になったわけですが、ノミネートされた『ヴューズ』は「ワン・ダンス」や「ホットライン・ブリング」といった最強のヒットソングを収録しているものの、アルバムとしてはそれほどでもない。何より曲が多すぎる。長すぎる。この辺り、彼の小心さが滲み出ています。
Text: soichiro tanaka Photo: Getty, Aflo
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田中宗一郎/音楽サイト「ザ・サイン・マガジン」のクリエイティブディレクター、音楽評論家、DJ。1963年、大阪府出身。雑誌『ロッキング・オン』副編集長を務めたのち、1997年に自ら音楽雑誌『スヌーザー』を創刊。その後、2013年秋にWEBメディア「ザ・サイン・マガジン」を開設。『スヌーザー』がオーガナイズするクラブイベント、クラブ・スヌーザーは全国各地にて現在も開催中。@soichiro_tanaka