【第一回】どれが獲っても論争勃発!? グラミー賞2017をブッタ斬り
2017/02/07(火)
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8部門ノミネートのリアーナ、9部門ノミネートのビヨンセ、7部門ノミネートのチャンス・ザ・ラッパー

2017年のグラミー賞がいつになく面白い理由

では、グラミー賞はどうか。答えから言うと、苦労しています。アメリカ大統領選の際に盛んに“アメリカは分断してしまった”という言葉が囁かれましたが、文化的に言っても今のアメリカをひとつにまとめあげるのはとても難しいです。ここ数年の内に、アメリカ合衆国の人口全体に白人が占める割合が50パーセントを割ってしまうだろうとも言われています。文化的なテイストについても、良く言えば多様性で溢れているし、悪く言えば多くの人々がシェアすることの出来るプラットフォームが見当たらない。そんな時代に、あるひとつの作家や作品に賞を与えながら、誰をも納得させるのは至難の業だとも言えます。

だからこそ、今年のグラミー賞は最高に面白いんです。その理由は明確、さまざまな価値観の衝突そのものだから。おそらくどんな結果になっても、誰かが狂喜し、誰かが猛烈に憤慨するに違いない。例えば、昨年のグラミーの結果とそれに対するリアクションを例にとりましょう。昨年もっとも物議を醸したのは、年間最優秀アルバムでした。受賞したのは、テイラー・スウィフトの『1989』。うん、まあ、そんなに悪いチョイスじゃない。しかし、彼女が受賞した瞬間、SNSを中心に世界中からブーイングが巻き起こった。アルバム『レッド』以前からの彼女のファンを自認する僕自身も思わずその瞬間にツイートしてしまいました。「いや、ここはケンドリック・ラマーだろう」と。

Text: soichiro tanaka Photo: Getty, Aflo

  • 田中宗一郎/音楽サイト「ザ・サイン・マガジン」のクリエイティブディレクター、音楽評論家、DJ。1963年、大阪府出身。雑誌『ロッキング・オン』副編集長を務めたのち、1997年に自ら音楽雑誌『スヌーザー』を創刊。その後、2013年秋にWEBメディア「ザ・サイン・マガジン」を開設。『スヌーザー』がオーガナイズするクラブイベント、クラブ・スヌーザーは全国各地にて現在も開催中。@soichiro_tanaka

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