密かにアツい、UK発のZINEカルチャーに注目!
ファッショニスタやクリエイターの間で親しまれているZINE(ジン)。ルールに縛られない自由な誌面作りに、作り手も読み手も夢中とか! とりわけ今みんなが注目していると噂なのが、UK発のZINE。、今のトレンド、UK、ZINE、その間に隠された関係とは? 多屋澄礼さん、代官山 蔦屋書店マガジンコンシェルジュの高山かおりさんらZINE好き評論家 と、話題のUK ZINE『Girls On Film』編集人の見解から、おしゃれZINEカルチャーの今を考察!
時代のムードと、クリエイティブなZINE
今、エディターや業界人の間でおしゃれZINEの注目度が高まっているとの噂。特にみんなの視線を集めているのは、UK発のものだとか。イラスト、ライター、DJとして活動を行う多屋澄礼さんも、昔からZINEカルチャーを愛してきたひとりとして今のZINEシーンを興味深く感じているそう。
「ZINEは80年代や90年代、特にライオットガールの文化の中で根付いていった文化。紙媒体の中でもZINEはとてもパーソナルなもので、発信する側の個性、バックグラウンド、伝えたいコンテンツ、表現方法に制約がなく、自由なのがすばらしいところです。それでいてプロフェッショナルさに欠ける訳でなく、商業的なバイアスから解放されたこの表現の場に、今たくさんの若い子たちが夢中になっているようです。
特にロンドンでは、モデルでもあるアルヴィダ・バイストロムやヴァレリー・フィリップスのような若手写真家が増えていて、ストリートカルチャーの系譜にのりながら、ガーリーさも兼ね備えた彼女たちの存在が注目を集めています。ヴァレリー自身のZINEや、二人がコラボしたZINEのインパクトは大きく、それによって今まで発見されていなかった才能ある女性たちが次々とZINEを出している。アレクサ・チャンが出した本『It』もクリエイティブなフォーマットでしたし、UKシーンは今、本やZINEといったプリントされた作品のすばらしさを再認識させてくれていると思います」(多屋澄礼さん)
何かを考察して発信する場としてのZINEが定着してきている感覚がある、と多屋さん。実際、代官山 蔦屋書店でマガジンコンシェルジュを務める高山かおりさんによれば、『Girls On Film』などのUK勢 ZINEはやはりお店で反響が大きいとのこと。
「ファッション誌『Lula』も英国発だし、UKはガーリーカルチャーが根付いている国。今このガーリーカルチャーに対する反響が高く、問い合わせも多いです。人気のZINEに漂うモデルのナチュラルさ、作りこみすぎない自然なガーリーさが、幅広い方に響いているのでは。誌面の雰囲気と、今のエフォートレスな時代のムードがリンクしている気がします」(高山かおりさん)
では現地UKのZINEシーンは? 『Girls On Film』の生みの親、イゴール・ターメノンに聞いてみたところ、「UKのZINE業界はここ数年すごく盛り上がっているよ!」との答えが。
「新しいZINEの出版社やエディターもほぼ毎月増えていて、業界全体が面白くなっているよ。盛り上がりの理由のひとつは、オンラインには情報がありすぎてすぐページを見失うのに対し、紙はお気に入りを実際に保存して、長く楽しむのに最高なツールとなるところだと思う。それにZINEは自分の作品を世に出すのにお金がかからないから、多くのアーティストが特に駆け出しの頃にこのフォーマットを使う。あとは単純に、紙の楽しさって格別だよね。iPadをタップする行為は、雑誌や本のページをめくる行為には勝てないよ!」(イゴール)
若い女の子たちがカメラやペンを片手に活躍できる場が増えている。この流れはとても意味のあることだと思います。ZINEはコピー機でプリントし、ホチキスで留めて完成する手軽さが良い。文やイラストなど何でも好きなものを詰め込める点はTumblrにも似ているけど、それを手に取って眺めたり、所有できるところがすばらしい。名刺がわりに自分のZINEを他人と交換したら、さらに楽しそう!」(多屋澄礼さん)
日常にデジタルが浸透する一方で、だからこそ捨てがたいペーパーの魅力にハマる人が続出。かつ、ネットの普及で今や誰もが有名人になれる今、より個性やセンスをアピールする手段としてもZINEが再注目されているのかも!
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多屋澄礼(たや・すみれ) /
1985年 東京出身、現在京都在住。インディ・ポップという音楽ジャンルを軸にイラスト、ライター、DJとして雑誌や本などで執筆をてがける。女性DJグループ、Twee Grrrls Club主宰、レーベル&ショップ、「Violet AndClaire」のオーナーとして、女性作家や海外の雑貨などをセレクト。Twee GrrrlsClub編集として『インディ・ポップ・レッスン』を刊行。アレクサ・チャン『IT』日本語版の翻訳を手がけ、2015年には女性ミュージシャンのライフストーリーを綴った『フィメール・コンプレックス』、京都のガイドブックとして『New Kyoto 京都おしゃれローカルガイド』をリリースしている。高山かおり(たかやま・かおり) /
代官山 蔦屋書店 マガジンコンシェルジュ。1987年北海道生まれ。某服飾系専門学校を卒業後、某セレクトショップにて販売員として5年間勤務。在職中にルミネストシルバー賞を受賞。2012年4月より現職。主に雑誌・リトルプレスの仕入れ、マガジンストリートで展開するフェアやイベントの企画を手がける。国内で注目しているZINEは『KAZAK』。代官山 蔦屋書店
渋谷区猿楽町17-5
tel. 03-3770-2525
http://tsite.jp/daikanyama/
オンラインストア: https://daikanyama-ec.tsite.jp/tsutaya/Igor Termenón(イゴール・ターメノン) /
『Girls/Boys on Film』編集人。スペイン生まれの写真家でエジンバラを拠点に活動を続ける。ZINEを通してフィルムを使う若手写真家のサポート役にもなっている。2012年にクリエイティブビジネスの支援サイト「Future Positive」をパートナーと立ち上げ、2015年に専用スタジオを創設。
Girls on Film http://www.girlsonfilmzine.co.uk/
Girls on Film Twitter @girlsonfilmzineIgor Termenon http://igortermenon.com/
Twitter @igortermenon
Instagram @igortermenon
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