期待の若手が活躍! この秋観たいフランス映画
この夏から冬にかけて、注目のフランス映画が続々登場。先陣を切って公開されたフランソワ・オゾン監督の『彼は秘密の女ともだち』と、90年代パリの音楽シーンが舞台の青春ドラマ『EDEN エデン』の2本をご紹介。フレッシュな若手女優&俳優の活躍もお見逃しなく!
最旬フランス女優の主演作に注目!
この夏から冬にかけて、かなり面白いフランス映画が次々と公開される。その先陣を切ったのがフランソワ・オゾン監督の『彼は秘密の女ともだち』。なにやら意味深なタイトルだが、原題は『Une nouvelle amie』。“新しい女ともだち”という意味。で、映画が進むにつれて、このタイトルの意味がだんだんわかってきて、思わずほくそ笑んでしまう。
主人公は、今、フランスで最も注目されている若手女優アナイス・ドゥムースティエが演じるクレールだ。子どものころからの親友が出産後、間もなく病に倒れて逝ってしまう。遺された彼女の夫ダヴィッドと生まれて間もない女の子を一生守る、と誓ったクレールだが、ある日、彼らの家を訪ねるとそこには女性のドレスを着て化粧をし、赤ちゃんをあやすダヴィッドの姿が。戸惑いながらも、女装趣味を受け入れるようになったクレールは、夫に内緒でヴィルジニアと名付けた、女装したダヴィッドと頻繁に会うようになる……。
意外な展開の連続にドキドキ感が止まらない、ちょっとひねりの効いたラブストーリー。知らぬ間に先入観や偏見に汚染されてしまっていた心には刺激的です!
そしてアナイス・ドゥムースティエが主演しているもうひとつの作品が『バードピープル』。『レディ・チャタレー』で知られるパスカル・フェラン監督の8年ぶりの新作だ。アナイスが演じるオドレーは、大学をさぼって空港近くのホテルでハウスキーピングの仕事をしている。多くの人が出入りする場所で働きながら、誰とも口をきくこともなく、透明人間のようにホテルで働き、アパルトマンに帰る単調な日々。だが、そんな彼女がある日、停電をきっかけにスズメになって、パリの街を自由に飛び回り、人々の生活を垣間みる……。鳥のように俯瞰から見ることで見えてくる、今までとは違った人生。ファンタジックな設定でありながら、現代社会を風刺したユニークな作品だ。
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『彼は秘密の女ともだち』
監督・脚本/フランソワ・オゾン
出演/ロマン・デュリス、アナイス・ドゥムースティエ
配給/キノフィルムズ
公式サイト/http://girlfriend-cinema.com/
公開中
text : Atsuko Tatsuta