フランス式 ベジテラピー/ドクター ジャン・ヴァルネのメモから【Vol. 8 いんげん―Haricots】

「いんげん豆」のようになりたい!?

フランスでは、人のルックスの描写に「あの人はいんげんのようだ」という表現があるのだそう。これっていったいどんな意味?

細い人の代名詞
スラリと細長いいんげん豆。フランスで“Elle, C'est un haricot vert!(=彼女、いんげん豆みたい!)”というと、「すごく細いなあ」という意味。実際にいんげんはカロリーが低く、いくら食べても太らない豆類ともいわれ、フランスではさやの粉末のカプセルにした肥満防止のサプリメントも商品化されているほど。若いものをさやごと食べる「さやいんげん(Haricot vert)」、成熟した種子を食べる「いんげん豆(Haricots en grains)」の2種類がある。いずれも原産地は中央アメリカからメキシコといわれ、中の豆ではなくさやを食べ始めたのはイタリア人とされる。
 
フランスではニース風サラダや付け合せで
フランスでいんげんが入る料理といえば、サラダ・ニソワーズ(=ニース風サラダ)。日本のビストロでもポピュラーなこのサラダは、コート・ダ・ジュール地方で採れる食材をシンプルなドレッシングでいただく南仏地方の定番。トマト、黒オリーブ、ゆで卵にゆでたポテト、ツナにアンチョビ、そして“ゆですぎなのでは?”と思うくらいのいんげん。フランス人は柔らかめが好みのようで、日本のおひたしやごま和えの感覚で歯ごたえを残してゆでると「これは生?」といわれてしまうのだとか。肉料理の付け合わせにもたっぷりのいんげんのソテーを添えるけれど、これもやはり柔らかめ。ゆで方で栄養価は変わらないので、好みの固さで食べればOK。
    
たんぱく質の吸収を高めるリジン
いんげんには、必須アミノ酸であるリジンが豊富。リジンにはたんぱく質の吸収を助ける働きがあり、ぶどう糖の代謝を活発化する。新陳代謝を促すため、抗酸化成分との相乗作用でシワやたるみといった肌老化予防にも役立つ。このほか免疫力をアップさせ、栄養素の吸収を高めて強壮な身体をつくるβ-カロテンや、たんぱく質、糖質の代謝に関わるビタミンB群も多く含む。

ヴァルネ博士のいんげんレメディ
糖尿病、アルブミン尿症(ケアして管理する)、肝機能不全。
 
■治療としての使い方
水1リットルあたり1~2つかみの新鮮なさやいんげんを入れる。2分ゆで、ひと晩漬けたままにする。あるいはひとつかみの乾燥したさやを6時間浸したあと、煎じて薬にする。
火を通してつぶした豆は、やけどや細菌性皮膚炎に使用可能。
 
■ヴァルネ博士のWいんげんサラダ
いんげん豆とさやいんげんをそれぞれひと掴みずつ柔らかくゆでる。食べやすい大きさに切り、細かく刻んだ香辛料(パセリ、チャービル、タイム、ローズマリー、セイボリー、バジル、ローリエ、セージ、にんにくなど)とともにオリーブオイルで和える。消化吸収が穏やかな豆サラダとして。
※いんげん豆は皮ごと食べるのがよく(皮には酵素が含まれるため)、採れたてかその年のうちのものを食べること。

いんげんでビューティケア
■いんげんのダイエットスムージー
ひとつかみのさやいんげんとミネラルウォーター500mlをブレンダーにかけたスムージー(グラスに約2杯分)を、1日で飲み切る。
デトックス効果がたっぷりあり、食欲も抑えられる。免疫力を高める働きも。
同じ材料をジューサーにかけて、緑のさやのスープにしてもよい。
 
■番外編 いんげんのゆで汁で洗濯
さやをむいたいんげん豆のゆで汁は、染めたコットンやプリント模様のコットンの洗濯に用いることができる。生地を傷めたり変色させたりすることなく、汚れだけをきれいに落とすことができる。
 
※効果や効能は人によって異なります。

photo : Yusuke Kinaka

  • 日下部知世子
    Chiyoko Kusakabe/フランス、マダガスカルなどでアロマテラピー(芳香療法)・フィトテラピー(植物療法)を修める。故ジャン・ヴァルネ博士よりアロマの哲学を受け継ぎ、後継者マダム・ティフィーヌに師事。2001年ヴァルネ夫人より正式継承者として承認される。国内・海外を含めたスパ施設のプロデュースやコンサルティング、心身に効果をもたらす化粧品開発でも活躍。   
    http://chiyokokusakabe.com/

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