【Vol. 1 冬キャベツ―Chou】
野菜には薬草やハーブと同様に、美と健康をキープするための薬効が備わっている。アロマテラピースペシャリストの日下部知世子さんが、植物療法家のジャン・ヴァルネ博士から受け継いだ野菜歳時記から、旬の野菜が心身にもたらす効果とその服用法及び活用法についてを指南。今回は、シュークリームの“シュー”としてもおなじみの「キャベツ」が、心身にもたらす効能を紹介します。

固くて甘い冬キャベツ
冬キャベツはまさに今が旬。春先に出回る柔らかいキャベツもおいしいけれど、パリのマルシェでは今、冬の風物詩ともいえるちりめんキャベツがところ狭しと並んでいる。これらは夏に種まきをして、この冬収穫されたもの。寒さや霜のおかげで甘みが増しているのが特徴。葉の巻きは固く、歯触りも固め。煮崩れしにくく、ロールキャベツやポトフなど冬の煮込み料理として日本の家庭の食卓に並ぶことも多いはず。 
   
古代ローマで重宝した万能薬
ヨーロッパ原産で、4000年前から栽培されているキャベツ。古来より薬効 があることが知られていて、ローマ人たちは長い間キャベツを内服あるいは外用で、あらゆる病に用いたのだそう。キャベジンとも呼ばれるビタミンUという成分には、胃酸の量を調整し、胃壁の粘膜を修復する働きがある。また、浄化剤やパップ剤としても重用され、搾り汁をはちみつに混ぜて咳止めやのどの痛みを治す、シロップとしてのレシピも。

ヴァルネ博士の「キャベツを使ったハップ剤」レシピ
うっ血を緩和したり循環器活性化、さまざまな毒素の吸収、また深い癒しの効果が得られる。
1 流水で葉を洗い、レモン汁を入れた水の中に数分間漬けたあと丁寧に拭く。
2 はさみかナイフを使って中心の主脈を取り除く(潰瘍など敏感な傷に用いる場合には他の太い葉脈も同様にオフ)。
3 麺棒やすりこぎなどを使って、葉の表面にエキスが染み出るまで1枚1枚すりつぶす。
  
使い方/就寝時に使用。患部の大きさと症状により、エキスが染み出た状態の葉1~3枚程度を貼るようにかぶせる。その上から厚い布地をかぶせ、テープできつくならないように留め、ひと晩(8時間程度)貼っておく。

キャベツでビューティセラピー
■万能キャベツジュース(Minci Chou)
体力を回復し、消化器・呼吸器の不調の緩和をもたらす。食欲のコントロールもできるのでダイエット効果も。高血糖を感知し血糖を低く保つことができるので糖尿病の予防にも。りんごやレモン汁を加えて飲みやすく。
  
[作り方/コップ1杯分]
キャベツ 1/4個
りんご 1/4個
レモン汁少々
~キャベツ、りんごをジューサーにかけてできたジュースに、レモン汁を加える。   
[飲み方]
毎日コップ1杯飲む。
   
■キャベツのデトックスウォーター
体内をクレンズしてくれる効果が大。
   
[作り方/1L分]
キャベツ 1/2個
水    1L
~流水で葉を洗い、レモン汁を入れた水の中に数分間漬けたあと丁寧に拭く。次にキャベツを千切りにして、水の中に1時間漬ける。
[飲み方]
保存ビンなどに入れて持ち歩き、1日かけて飲む。
  
■キャベツのスチームスキンケア
毛穴の中からデトックスするので、すっきり美肌に。
  
[作り方/1回分]
キャベツの葉 3枚
パセリ 1束
水 1L
[使い方]
お湯の中にキャベツの葉とパセリを浸し、その蒸気を5分間顔にあてる。
  

■キャベツスープの1週間デトックスプログラム(Soupe au chou)
体に優しいキャベツのスープ+αの食事で7日間のマイルドなデトックスを。たんぱく質もきちんと摂るので満足感も得られ、リバウンドしにくいプログラム。
  
[作り方/1人分]
キャベツ 1/2個
トマト  1個、玉ねぎ  1個、ピーマン 2個、にんじん 1本、セロリ  1/2本
にんにく 1片、ブーケガルニ 1束
水    2L
塩・こしょう 適量
~圧力釜に、水と全ての材料を火にかけて加圧、おもりが振れたら弱火にして1~2分加圧。ピンが下がるまで放置し、できあがったらスープの液体だけを保存する。
  
[飲み方]
1日目/朝にフルーツ、キャベツスープ
2日目/好みのグリル野菜、キャベツスープ、
3日目/フルーツとキャベツと好みの野菜のサラダ、キャベツスープ、
4日目/バナナと豆乳、キャベツスープ
5日目/鶏胸肉と野菜のグリル、キャベツスープ
6日目/鶏胸肉のグリルとと野菜サラダ、キャベツスープ
7日目/玄米、フレッシュフルーツジュース
※キャベツスープとハーブティーは1日に何度飲んでもよい、
※肉や野菜、フルーツの食べる量は適量、食べられる量を食べてよい
  
■キャベツを使った食事前の消化薬(La choucroute)
フランス家庭料理としても知られる“シュークルート”。毎食の前菜としてひとさじ食べると、消化を促す働きがある。
  
[作り方/4人分]
キャベツ 1個
クローブ 少々、ジュニパーベリー 少々、ローレル 数枚
粗塩 25g
白ワイン(またはビール)200ml
ブロックベーコン(またはパンチェッタ)380g
  
1 キャベツを細切りにして大きめのボールに入れ、粗塩を全体にまぶして2~3時間置く。出てきた水を捨ててからさらにキャベツを軽くもみ、しっかりと水を切る。
2 クローブ、ジュニパーベリー、ローレルを混ぜ合わせてキャベツにの上に振りかけ、殺菌したふた付き容器に入れて、2週間置く。
3 キャベツが発酵し、表面にうっすらと白いカビのようなものが現れたら、漬け込んだキャベツの塩分は残したまま、表面を軽く洗い流す。
4 キャベツを鍋に入れ、白ワインまたはビールを加え、ベーコンをブロックのまま入れて20分煮込む。
5 ベーコンを切り分けて、器に盛りつける。

photo : Yusuke Kinaka

  • 日下部知世子
    Chiyoko Kusakabe/フランス、マダガスカルなどでアロマテラピー(芳香療法)・フィトテラピー(植物療法)を修める。故ジャン・ヴァルネ博士よりアロマの哲学を受け継ぎ、後継者マダム・ティフィーヌに師事。2001年ヴァルネ夫人より正式継承者として承認される。国内・海外を含めたスパ施設のプロデュースやコンサルティングや心身に効果をもたらす化粧品開発でも活躍。
    http://chiyokokusakabe.com/

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