人生を変えたのは、1本のメイク動画

カリスマYouTuberミシェル・ファンが語る、“好き”を仕事にする人生

アルバイトをしながら投稿した1本のメイクアップ動画をきっかけに、世界中にファンを抱えるYouTuber、そして起業家へと一気に躍進したミシェル・ファンさん。28歳にしてサクセスストーリーを体現した彼女は、「影響力は新しいビジネスをつくれる、21世紀の “通貨”」と話す。自室での動画撮影から“ビューティ クリエイター”というジャンルを確立させ、世界的なインフルエンサーへと成長した軌跡を「エル・オンライン」に語ってくれた。

ミシェル・ファン(Michelle Phan)

--ミシェルさんは、ビデオのBGMにJ-POPを使ったり、投稿の中に初音ミクやセーラームーンのメイクアップ動画があったり、お寿司も大好きな親日家と聞いています。来日は何回めですか?
4回めよ。今回は「BEAUTY BOUND ASIA(BBA・ビューティ バウンド アジア)」のファイナルイベントへの出席が目的。「BBA」はオンライン ビューティ クリエイターの発掘と育成のため、「SK-Ⅱ」が全面的に協力し、3ヵ月に渡ってアジア11都市で開催されていたプログラム。審査員長のお話をいただき、選考に携わらせてもらったの。
 
ファイナルに残った22名のうち4人が日本人。こうしてアジアでビューティYouTuberが広がっていくのは、とても嬉しいわ! 私はベトナム系アメリカ人で移民。アジアの人たちには親近感を持っているし、日本のヒーローもののアニメは幼い頃、心の拠り所でもあったの。日本食も大好きで、2006年に初めてYouTubeにメイクアップ動画をアップした頃は、近所のお寿司屋さんでアルバイトをしていたほどよ。
 
--高校卒業後はアートスクールに進学したそうですが、理由は?
純粋に、好きなことをやりたかったから。私の育った家庭は生活が苦しくて、家賃が払えないこともあったほどだったの。だから母は、私が経済的に自立できる医療の仕事に就くことを望んでいた。確かに皮膚科学にも関心はあったけれど、それよりも絵を描くのが好きだったから、イラストレーションの道を選んだわ。
 
白人社会の中で友達はほとんどいなかった。自分の部屋で空想の世界に浸れるスケッチは、そんな辛さを紛らわす方法だったの。家族を貧困から救う、特殊な力を持ったヒロインの絵ばかり描いていたわ。メイク動画のなかでレディ・ガガや、セーラームーンに変身する私の原点も、そこにある気がしているの。
 
--メイクアップ動画投稿のきっかけは、何だったのでしょうか。今のような人生は予測していましたか?
19歳の夏、高校を卒業したばかりのころブログにアップした私の写真を見て、「メイクのハウツーを動画で見たい!」と言ってくれる人がいたことがきっかけ。「若いときはそのままで十分きれいだから、メイクは必要ない」という母の言いつけを守っていたので、堂々とメイクをできることがとにかく楽しかったの。それで次々とメイクアップ動画を発信し続けたわ。少しずつ再生回数が増えていくことがうれしくてたまらなかっただけで、今のようになれるとは思わなかった。ただ、インターネットの時代がやってくるという確信はあった。

「Miranda Kerr」「Lady GAGA Poker Face」「Barbie」「Sexy Leopard」「Summer Sunset Eyes」などテーマを決めて、すっぴんからメイク工程を解説していくミシェルさんの動画。表情、アングル、選曲、ライティングなど、すべてセルフプロデュース。ストーリーの面白さに加えて、メイクプロセスがわかりやすく、真似しやすいのも人気の秘密。
 

--ミシェルさんが投稿を始めた当初、メイク動画を発信している人は他にもいたのですか?
たった10年前のことだけれど、そんな人は10人くらいしかいなかったの! 私自身も、メイク動画はひとつのマーケットになると思っていたけれど、最初の2年間は全然お金にはならなかったわ。状況が変わったのは、2008年に「YouTubeパートナープログラム」がスタートしてから。動画に広告を入れるようになって、1日に25セント、1ドル、5ドルとだんだん収入が増えていったの。そして、月200ドルになったときウェイトレスを辞め、コンテンツ作りに専念することを決意したわ。
 
--アルバイトを続けながらやることもできたと思うけれど、潔く辞めてしまったのは持ち前の性格?
たしかに、上司はクレイジーだと思ったみたい(笑)。でも人がどう思うかではなくて、自分がどう思うか、どう感じるかが大事だったの。メイクアイテムは高価なものではなかったし、モデルも自分だから、お金はかからなかった。なにより、動画を作るのが面白くたまらなかったから、制作のための時間がほしかったの!
 
--企画から撮影、編集までセルフプロデュース。カメラワークだけでなく、ナレーションや字幕にも引き込まれてしまいます。コンテンツを作るときに、意識していることはありますか。
私自身が楽しんで作っているから、見た人にも伝わるんだと思うわ。いちばん心がけているのは、ストーリーに変化をつけること。そして、“気分”を伝えること。映像は残るものだし、見てくれる人へのマナーとしても、人を不快にさせる言葉は使わないということも心がけているわ。
 
--動画作りのセンスはどうやって磨いたのでしょうか。
動画作りは、たくさんの映像を見て学んだわ。YouTubeを初めて知ったとき、「世界中に配信できる未来のテレビに、無料で自分のチャンネルを持てるなんて!」と、とても驚いた。でも、テレビだからといって、テレビと同じことをやっていたのでは飽きられてしまう。次はどんな動画?と視聴者に期待してもらえるものを作らなければいけないと、同時に思ったわ。当初は本当に好きなことだから、頭の中はやってみたいことであふれかえっていたわ。でも、投稿を続けることは大切だけれど、インスピレーションには“お休み”も必要。ほどよくペースダウンして、量より質を意識している。大手ブランドから、動画作成のオファーをもらえるようになったのも、動画のクオリティを認めてもらえたからだと思うわ。

  • ミシェル・ファン
     
    Michelle Phan/ビューティ クリエイター、Vlogger。1987年アメリカ マサチューセッツ州生まれ。独学でメイクを学びYouTubeに投稿したメイク動画が支持され、累計再生数11億回を超えるトップYouTuberに。コスメティックブランド「IQQU」「em MichellPhan」のプロデュースや、サンプルコスメの定期配送サービス「ipsy」の運営、女性を支援する団体「FAWN」の活動も行い、2015年のフォーブス誌では「30歳以下の30人」アート&スタイル部門の1人に選ばれた。日本人のファンも急増中。
     
    公式サイト : http://michellephan.com/
    YouTubeチャンネル : https://www.youtube.com/user/MichellePhan
     

  • Beauty Bound Asia
     
    「SK-Ⅱ」の全面協力で今年8月にアジア11都市でスタートした、次世代のビューティ クリエイターを発掘・育成するプログラム。YouTubeの動画制作や「SK-Ⅱ」のビューティ ワークショップに参加しながら、課題に挑戦、技術とセンスを競い合ってきた。11月7日、六本木のYouTube Spaceで開催されたファイナルイベントには、日本代表の4名を含む22名のファイナリストが集結。最優秀賞はタイのバンコクから参加した、Jane Makeupさんが獲得。 ミシェルさんは課題制作だけでなく、審査員長やファイナリストのメンターを務めた。
     
    公式サイト : http://www.beautyboundasia.com/
     
     

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text : Motoko Nomura

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