特集(エディターズPICK)
2015/09/17(木)
BOBOシックなライフスタイルを貫いたスタイルアイコン

マリー・アントワネットが現代に伝える香りのエレガンス

多くのエピソードを残すフランス王妃マリー・アントワネットは、抜きんでた美意識と繊細なセンスで香水史に名を刻むフレンチビューティでもあった。こよなく緑と植物を愛し、自然に由来する香りをひとつのカルチャーに昇華させた、BOBOシックなスタイルアイコン。アール・ド・ヴィーブルを体現するマリー・アントワネットのフレンチエレガンスをSTUDY!

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エリザベットさんが、おばあさまから受け継いだという銀製のショコラティエ(ショコラを入れるポット)も、18世紀のもの。当時のヴェルサイユ宮殿でも、このようなショコラティエで熱いドリンクショコラを供していただろうと想像が膨らむ。カップは19世紀のもの。

マリー・アントワネットの香りとの付き合い方

「マリー・アントワネットが好んだ香りは、ミル・フルール=千の花々、あらゆる花を集めたブーケの香りでした。ですが、今とは違い、ひとつのお気に入り香水を常に使用していた訳ではありません。シチュエーションに応じてあらゆるものに香りを付けるのが当時のベーシック。ジャスミンを整髪用のポマードに、ハンドクリームにアーモンドミルクとパウダーを入れ、手袋にカーネーション、朝食のショコラにはときにラベンダー、ときにヴァニラの香りを付けて、といった具合です。なかでもオレンジウォーターは特別で、情緒不安定なときの気付け薬として飲まれていました。革命初期に不穏な知らせが届けば“私のオレンジウォーターを!”と女官に運ばせたというエピソードが伝えられています。トリアノン宮の庭に植えられていたオレンジは、実をフルーツとして、花や茎を蒸留してエッセンシャルオイルとオレンジウォーターに、余すところなく使われていました。オレンジや菊など、当時のフランスでは珍しい植物が夜中に誰かに盗まれやしないかと心配していたという話まであるほどです」(エリザベットさん)

  • エリザベット・ドゥ・フェドー/Elisabeth de Feydeau
    フランス・パリ生まれ。ソルボンヌ大学で歴史学を専攻し、香りにまつわる歴史の独自の論文が注目を浴びる。18世紀の調香師ジャン=ルイ・ファルジョンの物語『マリー・アントワネットの調香師』や、マリー・アントワネットが育てた花や植物を描いた『マリー・アントワネットの植物誌』(いずれも原書房刊)他、著作多数。ヴェルサイユ香水学校で教鞭をとりながら「ゲラン」「ディオール」「シャネル」他、フランス香水ブランドのコンサルタント、香水開発に関わる。2011年、18世紀のヴェルサイユをテーマに現代的なアレンジを施す自身の香りのブランド「Arty Fragrance(アーティ フレグランス)」をスタート。幼少時からピアニストを目指し音楽に没頭した経験が、音楽と香りに共通する"目に見えぬものがもたらすエモーションやハーモニー”に魅了されたきっかけだそう。
    Arty Fragrance http://www.arty-fragrance.com/

photo : Ayumi Shino  text : Chiyo Sagae

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